2017年2月1日水曜日

スイスETH工科大学での長期滞在~連載第3回 滞在許可証(Residence Permit)の取得について


こんにちは。

数理科学専修・修士2年の小池です。

前回は、(2)スイスの交通機関と水事情についてお話しました。
今回は、(3)滞在許可証(Residence Permit)の取得についてお話ししようと思います。

(1)スイスの食生活と物価水準
(2)スイスの交通機関と水事情
(3)滞在許可証(Residence Permit)の取得について・・・今回の記事
(4)海外での研究について

観光や学会発表等とは異なり、留学などの長期滞在を行う場合は査証(ビザ)の取得が必要になります。
査証の取得方法は、滞在する国や滞在目的によって様々であり、海外への長期滞在が決まったら早急に調べておかなければなりません。
今回は、私の滞在先であるスイスの場合で、査証の取得に必要な手続きについてお話します。

在スイス日本国大使館[1]の書類[2]には、以下のように記されています。

①日本とスイスとの間には査証免除取極が締結されているため、観光などを目的とした90日以内の滞在については、査証(ビザ)の取得は不要です。
就労などを目的とした滞在、または90日以上滞在することが前もって明らかな場合は、 日本出国前に、スイス国内の雇用主を通じるなどして入国許可の確約書を取得し、スイス入国後、改めて目的に応じた滞在許可を取得する必要があります。

②によれば、スイスへ発つ前にやらなければいけないことは、
●スイス国内の滞在先(私の場合は、主に先方の秘書の方に手続を行って頂きました)にお願いして、入国許可確約書を取得する
ことです。その後、確約書を持ってスイスに着いた後は、
●すみやかに各州移民局等で滞在許可の取得手続きを行う
必要があります。

取得する滞在許可の種類も目的によって異なり、就学が目的の場合は学生査証なるものを取得しなければなりません。必要な書類のいくつかは日本で準備しなければならないため、注意が必要です。
滞在許可証の申請に必要な書類は、大学のホームページにて確認するのが最善であると思います。
大学は、あなたの身分に応じて必要な書類や手続きをまとめてくれていることと思います。
私の場合は、Invited Visiting Student[3]なる立場で、大学の文書[4]より詳細な情報を得ることができました。
この段階で、入学のために必要な書類も分かるので、準備しておくと良いと思います。
基本的にパスポートの写しや写真、成績証明書などを提出しますが、その他以下のものが必要でした。

Confirmation of Matriculation / Enrollment
受け入れ先の先生に書いていただくことになる、入学許可証です。
大抵の場合、先方はすでにこういった書類を書くことに慣れているので、先方にやってもらえることは早めに頼んでおきましょう。

Proof of sufficient financial means
留学生は、スイスで生活できるだけの十分な資金を持っていることを移民局に証明しなければなりません。
基本的には銀行口座の写しを提出すればよく、滞在ひと月あたり1750CHF(日本円にして20万ほどです)を準備しておかなくてはなりません。
私の場合、幸いなことに大学から資金の援助を頂いていたので、その契約証明書により資金証明とすることができました。

Health Insurance
スイスでは、ある一定の条件を満たした健康保険への加入が義務付けられています。
自国の保険で一定の条件を満たしている場合はこれを免除してもらうことができるのですが、以下の理由から免除をもらうのは大変だと思います。
①日本の国民健康保険では条件を満たさないため、いくつかの保険に新しく加入する必要がある 。
②免除のためには、保険会社に頼んで証明を発行してもらわなければならない。
幸いなことに、スイスの保険会社は留学生用の保険を販売しており、これに加入しさえすれば法的には問題ありません。
私の場合、留学生が加入する保険は、基本的にはSwisscareかAcademic Careの二択でした([5]参照)。
私はAcademic Careの方に加入したので、その利点と欠点を挙げておきます。

[利点] 大学周辺にオフィスが二つあったので、困ったら直接聞きに行けた:

保険は基本的には大学とではなく、州とのやり取りなので、送られてくる書類はドイツ語で書かれています。
そのような書類が送られてきた際は、周囲でドイツ語の読める人に聞くのですが、そもそもEU圏から来る学生は保険の免除が下りることが多く、そのようなやりとりを経験していないことが多いです。
Swisscareはメールもしくは電話のみでの対応ですが、Academic CareはETHの近くにオフィスが二つあります。
本当に困った時には直接Academic Careのオフィスに行けば、窓口の人に直接相談し解決することができるので、とても安心でした。

[欠点] 近年サービスを始めたばかりなのか、しばしば手続きの問題が発生した:

Academic Careは近年サービスを始めたばかりで、手続きに不慣れと思われる場面が見受けられました。
私の場合、相手側のミスによりいくつかの問題が発生し、スイスに滞在している間中はほぼずっと保険の問題が付きまとっていました。

保険の選択はスイスの長期滞在について回る非常に複雑な問題なので、よく考えて決めるのが良いと思います。

留学や長期滞在において一番大変なことは、大量の書類と格闘することかもしれません。

次回は、「海外での研究について」というテーマでお話します。

参考文献
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[1] 在スイス日本国大使館
http://www.ch.emb-japan.go.jp/
[2] 査証の取得について
http://www.ch.emb-japan.go.jp/documents/ryoji/jp/swiss-residence-permit.pdf
[3] Visiting Student
https://www.ethz.ch/en/studies/non-degree-courses/exchange-and-visiting-studies/programmes/visiting-students/invited-visiting-students.html
[4] Instruction for Visiting Student
https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/main/education/non-degree/mobilitaet/PDF_englisch/Visiting_Invited_application_guidelines.pdf
[5] ETHの保険に関するガイダンス
https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/main/education/internationales/pdf-en/health-insurance-web.pdf

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