2016年7月7日木曜日

アメリカへの学位留学について―第4回 アメリカの大学院入試~出願編~(連載)

こんにちは。OBスタッフの山田です。
アメリカへの学位留学について―第4回 は「アメリカの大学院入試~出願編~」です。


アメリカの大学院入試は全てインターネット経由で行います。
Ph.D.プログラムのアプリケーションは9月中頃に開始し、12~1月締め切りが一般的です。

出願後、アドミッションの目にとまった学生には教授からSkypeによるインタービューが行われる事があります。
目的は英語力の確認、基礎学力の確認から、自分の研究室の研究に対するアイデアの提示を求められる場合や、単に自分の研究室の宣伝をして終わる場合もあります。いずれにせよ、合格の可能性を高めるためには、志望先の教授の目にとまることが重要になります。

大学にもよりますが、大学の教授がアドミッションに関わっているケースは多く、気に入った学生を合格させる力を持っていることすらあります。
これは、一般的にPh.D.課程の場合3年目以降は研究室の予算でRAとして雇われるため、3年目以降の責任を持つことになる教授が発言力を持つということです。
ただし、いくら教授が特定の学生の合格へ支援をしても、アドミッションが定める最低限の要求を超えない限り合格が出ないこともしばしばです。

高いGPATOEFLGREのスコア、研究実績を積むことは究極的にいえば、出願先の教授の目にとまり、アドミッションから拒否される事無く合格を勝ち取るために必要だと言えます。

また、上記の理由から奨学金を持っている事も非常に強力な武器に成り得ます。
アメリカの大学院では何らかの財政支援が付くことが一般的と言いましたが、お金の出所は学校や研究室です。そこに日本の財団などから奨学金を貰える学生が出願したとなれば、言うならば無料の労働力が得られることを意味し、教授の目にもとまり易くなります。
また、多額の奨学金を受給するほど、優秀な学生であるという第三者の評価も得られ、良いこと尽くしです。
海外留学用の奨学金を調べるには、慶應義塾大学国際センターのWebページが良くまとまっているので参考にすると良いと思います。

そして何よりも重要なことが、志望する教授とコンタクトを取ることです。
先ほど述べたように教授がアドミッションに及ぼす力は絶大です。
志望する教授には出願前にメールを送り、自分のことを知ってもらう事が必要です。
場合によっては、予算が足りなくて新しい学生が取れないことや、ラボが移動するといった事情を事前に知ることができ、無駄な出願を避けることにも繋がります。

また、メールだけにとまらず、実際にラボを訪問するなどして教授に直接会う事が出来ると非常に効果的です。数多ある出願書類の中から自分の書類に目をとまらせるのは難しいですが、実際に会ったことのある学生となると教授も目をとめ易くなるのは想像に難くないです。
私自身も学会に参加した際、自分の興味のある研究をしている教授に連絡を取り、実際に会って自分を売り込んだことが合格の決め手になったと考えています。

出願自体は各大学が用意したアプリケーションフォームに情報を入力し、書類をアップロードするだけです。
TOEFLGREのスコアはETSに依頼をし、公式の書類を郵送してもらいます。
2週間以内に到着すると言われていますが、もっと時間がかかってしまうことや、大学に届いているはずなのにステータスがNot Receivedのまま といったことがしばしば起こります。
時間に余裕を持ってスコア送付をし、怪しいと思ったら直ぐにアドミッションにメールで確認しましょう。
もちろんアドミッションも親切なので、一般的には書類が足りない場合はメールで連絡してくれます。

推薦状のアップロード依頼は通常アプリケーションの入力中に行えます。
推薦状依頼者の項目に、名前、所属、メールアドレスなどを入力すると、自動的に推薦状依頼のメールが送信されます。
その後推薦者が推薦状のアップロードなどを行うことになっている様ですが、推薦者は忙しい場合も有るので時間に余裕を持って行いましょう。
また、稀にアプリケーションを提出してからでないと推薦状依頼を送信できない大学があります。
しっかりと確認しておくことをオススメします。
そして、推薦状に関して一番重要なのは、推薦状の中身を見る権利を放棄(waive)することです。
アメリカでは法律によって被推薦者が推薦状の中身を見る権利が保証されています。
しかし、この権利を行使することは、推薦者と被推薦者の関係が良好でないのではないか といった無用な推測を生むことになりかねません。

全ての項目を入力し、書類のアップロードが終わると最後に出願料を払い完了となります。
クレジットカードで支払えますが、スコア送付と合わせると1校あたり150$程になるので、複数校受験するとなるとなかなかの金額になってしまいます

では次回はいよいよ合否編です。



~雑談~
最近Princeton大学が1994年にノーベル経済学賞を受賞したDr. John Nashの推薦状の原文を公開しました。
彼はPrincetonの大学院で学びましたが、その出願の際にRichard J. Duffin教授が書いた推薦状です。

Dear Professor Lefschetz

              This is to recommend Mr. John F. Nash, Jr. who has applied for entrance to the graduate college at Princeton.

              Mr. Nash is nineteen years old and is graduating from Carnegie Tech in June. He is a mathematical genious.

                                                        Yours sincerely,

本文訳
              この手紙はPrinceton大学の大学院入試へ出願したMr. John F. Nash, Jr.を推薦するものである。
             
              Mr. Nash19歳でこの6月にCarnegie Tech (現在のCarnegie Mellon University)を卒業する。彼は数学の天才である。

                 敬具

この推薦状は以前から有名だったのですが、改めて原文を読むとJohn Nashの凄さが分かるような気がします。
山田

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